ペーパーやネルなどの淹れ方は、お湯を通す「透過法」と、お湯に浸す「浸漬法」に大きく分けられます。エスプレッソとマキネッタは圧力、パーコレーターは循環、水出しは水で時間をかける、という別のしくみです。
EL ORIGEN が各社の公開情報を整理したところ、ペーパー、ネル、サイフォン、フレンチプレス、エアロプレスを含む9つは、この分類と圧力・直火・水の違いで見分けやすくなります。
- 淹れ方の違いは、お湯が粉をどう通るか(透過)、どれだけ触れ続けるか(浸漬)に加え、圧力や循環、水で時間をかけるかどうかでも分かれます。
- 粉の量、湯温、時間は方法ごとに異なり、同じ方法でも会社によって数値が少し違う点に注意が必要です。
- 選ぶ軸は、出典が書いている味の傾向(すっきり、コク、安定しやすさ)と、手間の大きさです。
次の器具を買う前に違いを知りたい方に向けて、数値はすべて公開情報の範囲で並べます。
コーヒーの淹れ方は大きく2つ|透過法と浸漬法
キーコーヒーの抽出方法の比較によると、透過法は「コーヒーの粉にお湯を注ぎ、ろ過する方法」です。代表はペーパードリップ(一部は浸漬法)とネルドリップとされています。
少しずつお湯を注ぐのでクリアな味を再現しやすい一方、注ぎ方で味がブレやすい面もあるとのことです。キーコーヒーはこれを「自分好みの味を探求できる」と言い換えています。
浸漬法は、コーヒーの粉を一定時間お湯に浸し、時間が経ってから粉と液体を分ける方法です。キーコーヒーは、誰がいれても安定して豆のポテンシャルを引き出せるいれ方と説明しています。
どちらの方法でも、抽出時間は味を左右します。全日本コーヒー協会の基本原則では、成分に溶け出しやすいものと溶けにくいものがあるため、時間が短いと「酸っぱくて薄く」、長いと「苦くてエグく」なる、というのがその説明です。以降、全日本コーヒー協会は「協会」と略します。
湯温と水についても、協会は次のように書いています。
- 湯は、沸騰後にポットを火から離し、ぐらぐらが静まった程度(95度前後)が適温です。
- コーヒーの味をダイレクトに楽しむには、軟水が適しています。
淹れ方9種類の早見表|粉の量・湯温・時間
各社の公開情報にある数値を、1杯分の目安として並べました。出典に記載がない欄は「記載なし」としています。会社によって数値が違う場合は併記しており、どちらが正しいかの判定はしていません。
| 淹れ方 | 分類 | 1杯の粉の量 | 湯の温度 | 時間 |
|---|---|---|---|---|
| ペーパードリップ | 透過法(一部は浸漬法) | 協会 12g(中細挽き・140mL分)/UCC 10〜12g/メリタ 約8g(125cc分) | 協会 95℃前後/UCC 92〜96℃ | HARIO V60は3分以内/キーコーヒーはおおむね3分で注ぎ切る |
| ネルドリップ | 透過法 | 協会 12g(140mL分)/キーコーヒー 10g(できあがり120cc)/UCC 10〜12g | UCC 92〜96℃ | 協会 2分半〜3分/キーコーヒー 蒸らしからネルを外すまで約3分 |
| サイフォン | 浸漬ろ過法 | 協会 15g(140mL分)/キーコーヒーの例 12g(できあがり120ml) | 記載なし | 撹拌のあと弱火で20秒ほど置く(協会) |
| フレンチプレス | 浸漬 | 10g(キーコーヒー) | 90〜95℃ | 3分 |
| エアロプレス | 浸漬と加圧 | 16〜18g(エアロプレス公式) | 85℃(185°F) | かき混ぜ、プランジャーを差し込んだあと60秒待つ |
| エスプレッソ | 加圧(約9気圧) | 6〜9g(25〜30mL分・協会) | 記載なし | 20〜30秒(協会) |
| マキネッタ | 加圧(1.5気圧・直火) | 記載なし | 記載なし | 記載なし |
| パーコレーター | 循環(直火) | 4杯分で40g(水600ml・キーコーヒー) | 記載なし | 弱火で3分程度 |
| 水出し | 水で時間をかける | 記載なし | 水 | ダッチ 6〜8時間(10杯分)/コーヒーバッグ 4〜8時間 |
協会は、基本原則の解説で、挽き目別の1杯分の標準的な粉の量も表にしています。上の表の協会12gはペーパードリップ式の解説(中細挽き・140mL分)にある数値で、こちらとは出どころが別です。極細挽きは6〜8g、細挽きは8〜10g、中細挽きは約10g、中挽きは12〜13g、粗挽きは約15gです。挽き目の選び方はコーヒーの挽き目ガイド、豆の量は1杯あたりの豆の量ガイドで詳しく解説しています。
ドリップで淹れる|ペーパー・ネルとドリッパーの形

ペーパードリップ
協会は、ペーパードリップを「はじめての人でも簡単に本格コーヒーを淹れることができる」方法としています。キーコーヒーは、都度抽出する1杯抽出の器具が1959年に日本の器具メーカーから発売されたことを、ペーパードリップの起源としています。
協会の手順(1杯140mL分)は次のとおりです。
- 湯を沸かし、湯温が95℃前後になるまで少し置く。
- ペーパーフィルターのシール目を交互に折り曲げ、ドリッパー(協会の写真は3つ穴式)にセットする。
- コーヒー粉を入れ、20mL注湯する。平らに整えた粉の中心に静かにお湯をのせ、20秒ほど蒸らす。
- 1投目は80mL注湯する。小さな円を描くようにやさしく注ぐ。
- 2投目は40mL注湯する。ドリッパー内の湯量が1/3程度減ったら注ぐ。
- 3投目は20mL注湯する。2投目と同様に注ぐ。
UCC上島珈琲は、蒸らしを、粉の中にあるガスを追い出して、おいしい成分を引き出しやすくする工程と説明しています。次の湯は、水面がやや下がるタイミングで注ぐのがベストだそうです。注ぎ方や手順の全体はハンドドリップのガイドで詳しく解説しています。
ドリッパーの形と穴の数
キーコーヒーによると、ドリッパーは円すい型と台形型の2種類に大きく分かれます。形によって注ぎ方も味わいも違ってきます。
- 円すい型は高さがあり、液体の抜けが早い形です。少ない湯量でも浸透しやすく、1杯分でも湯だまりができにくいため、過剰抽出になりにくいとされています。スッキリとした味わいが楽しめます。
- 台形型は、コーヒー液が溜まりながらサーバーに落ちるため、濃度のあるしっかりした味わいになるのが特徴です。円すい型に比べて、安定した味を出すのが難しいとも書かれています。
円すい型の例として、HARIOのV60があります。円すい形で角度が60°であることが名前の由来です。大きなひとつ穴を持ち、素早く注げばすっきり、ゆっくり注ぐとコク深い味になると、HARIOは説明しています。
穴の数も違いを生みます。協会によると、1つ穴式と3つ穴式では抽出する速度が違うとのことです。
- カリタは三つ穴構造で理想的な抽出速度を実現し、底部の三つ穴で味ムラのない抽出ができるとしています。
- メリタは一つ穴式で、内側のミゾと1つ穴の抽出口がお湯の流れをコントロールするため、誰でもおいしく抽出できると説明しています。
ネルドリップ
ネルドリップは、協会が「古くから普及している」と紹介する方法で、コクのあるコーヒーになります。キーコーヒーによると、「最もおいしい抽出方法」とも呼ばれているそうです。
同社によると、ネルはペーパーより目が粗く、豆のオイル成分が多く抽出されます。そのため味わいは滑らかでボディ感が強い傾向で、ほんのりした甘みも特徴です。一方ペーパーは、比較的すっきりとした味わいになるのが一般的とされています。
UCC上島珈琲によると、起毛した布「フランネル」のフィルターは洗って繰り返し使えますが、お手入れに少し手間がかかります。使い終わったら鍋などの熱湯で煮沸する、というのが同社の案内です。
注ぎ方について、協会は2分半〜3分で終わらせるよう、5〜6回に分けて注ぐとしています。
浸して淹れる|フレンチプレス・サイフォン・エアロプレス
フレンチプレス
フレンチプレスは、ガラスポットに粉をセットしてお湯を注ぎ、数分待つだけで淹れられる方法です(協会)。キーコーヒーによると、コーヒーの油分がそのまま抽出されるので、なめらかな口当たりとコク深い味わいになります。ハンドドリップより条件をそろえやすく、味が安定しやすい点も魅力とされています。
キーコーヒーの手順は次のとおりです。
- コーヒー粉10gをフレンチプレスに入れ、お湯を140ml注ぐ。粉が20mlの湯を吸うので、できあがりは120mlになる。
- シャフトをかぶせ、3分間のタイマーをスタートさせる。
- 3分経過したら、フレンチプレスが動かないよう片方の手で取っ手部分を押さえながら、ゆっくりとシャフトを押し下げる。
シャフトの長さはメーカーにより異なるため、最後まで押すと過抽出となり、余分な雑味や苦みが出ることがあります。その場合は一番下まで下げず、少し浮かせるのがポイントです。
湯温は95℃〜90℃が目安です。味が薄いと感じたときの調整として、粉を増やす、挽き目を細かくする、注ぐお湯の量を減らす、の3つが挙げられています。豆については、油分も一緒に抽出されるため、コクや香りを楽しめるやや深煎りが挙げられています。詳しくはフレンチプレスの淹れ方ガイドをご覧ください。
サイフォン
サイフォンは空気圧を利用した抽出法で、香り高いコーヒーができあがる過程も楽しめます(協会)。キーコーヒーは、これを浸漬ろ過法と呼んでいます。
協会の手順では、9割ほどお湯が上がったらしっかり撹拌して粉全体になじませ、弱火にして20秒ほど置きます。この浸漬の工程が味を決める大事なポイントです。
キーコーヒーによると、蒸気圧を使って高温で抽出するため、ドリップ式よりコーヒーオイルが多く含まれ、口当たりがまろやかになります。一方ドリップ式は、時間をかけてゆっくり注ぐので、コクのある飲み応えになるとのことです。
選ぶ際の注意点として、キーコーヒーは容量のほかに熱源の違いを把握する必要があるとしています。熱源は主に、アルコールランプ式、電気式、ガスバーナー式の3種類です。粉は注いだお湯の2割を吸うため、できあがり120mlなら湯は144mlが必要です。
エアロプレス
エアロプレスについて、キーコーヒーは2005年に開発された歴史の浅い器具で、圧力を使うのが特徴と書いています。粉の量、挽き方、湯量を調節するだけで、火や電気を使わずにエスプレッソのようなコーヒーが作れるとされています。
エアロプレスの公式サイトによると、3つの特徴を併せ持つ淹れ方です。浸漬によるフレンチプレスのようなしっかりした味わい、ハンドドリップのようななめらかさ、空気圧によるエスプレッソのような濃厚さです。
同じ公式サイトの手順(市販の中挽きの粉を使う場合)を、日本語でまとめました。
- ケトルで湯を85℃(185°F)まで温める。温度調節のできるケトルがなければ、沸騰したお湯を使う。
- プランジャーをチャンバーから完全に引き抜いて外す。
- ペーパーフィルターをフィルターキャップに入れ、キャップをチャンバーにねじ込む。
- チャンバーを丈夫なマグに立て、中挽きの粉を16〜18g入れる。
- 軽く揺らして粉を平らにし、チャンバー側面の目盛り「4」まで湯を注ぐ。
- 約3秒かき混ぜる。すばやくプランジャーを½インチほど差し込み、少し引き上げて真空を作り、滴下を止める。そのまま60秒待つ。
- プランジャーを、穏やかに一定の力で押し下げる。強く押しすぎないよう、公式サイトは注意している。
火・圧力・水で淹れる|エスプレッソ・マキネッタ・パーコレーター・水出し

エスプレッソ
協会によると、エスプレッソは極細挽きの粉に約9気圧の圧力をかけ、短時間で抽出するコーヒーです。粒度を細かくして湯に触れる表面積を増やし、一杯分(25〜35mL)を20〜30秒で一気に抽出します。その結果、コクや甘味、酸味などの旨味が凝縮されます。
粉は25〜30mL分で6〜9gです。タンパーでフィルター内の粉に15〜20kg程度の圧力をかける「タンピング」という作業があり、粉を正確にフィルターへ入れる技術も必要とされています。
マキネッタ
キーコーヒーによると、マキネッタは直火式で、本体に水を入れ、内部にバスケットやふた、パイプがある点でパーコレーターと構造が似ています。マキネッタは細挽きの粉を使い、1.5気圧で抽出するため、短時間でエスプレッソのように濃厚になるのが特徴です。
協会のエスプレッソは約9気圧、キーコーヒーのマキネッタは1.5気圧と、圧力の数値が異なります。
パーコレーター
パーコレーターは、コンロなどの直火にかけてコーヒーを抽出する器具です。キーコーヒーによると、水が沸騰すると、蒸気の力でストレーナーのパイプにお湯が通り、バスケット内の粉に触れて抽出されます。
循環するほど濃度が上がるため、好みの濃さになるまで調節できます。フィルターを使わないので、ペーパードリップより豆のオイル感を楽しめる味わいです。キーコーヒーは、浅煎りで荒挽きの粉が向いているとしています。目安は弱火で3分程度で、4杯分なら水600mlに粉40gです。
水出し
出典で紹介されている水出しは、次の2つです。
- 水出しコーヒー滴下式:協会によると、6〜8時間(10杯分)かけて一滴ずつ水を落とします。ウォータードリップ、ダッチコーヒー、コールドブリューとも呼ばれ、コクのある甘味が特長です。
- 漬け込み式:UCC上島珈琲のコーヒーバッグは、水に漬けるだけの簡単な方法です。4〜8時間でできるので、夜に作って冷蔵庫に入れれば、翌朝にはすっきりまろやかなアイスコーヒーになります。特別な器具は使いません。
作り方は水出しコーヒーのレシピガイドでまとめています。
どれを選ぶ?味の好みと手間から考える
出典が書いている傾向を、知りたいことごとに並べました。
| 知りたいこと | 出典に書かれている内容 |
|---|---|
| すっきりした味わい | ペーパーは、ネルと比べて比較的すっきりとした味わいになるのが一般的。円すい型ドリッパーはスッキリ、V60は素早く注ぐとすっきりとされる(キーコーヒー、HARIO) |
| コクや油分 | ネルは滑らかでボディ感が強い。フレンチプレスは油分がそのまま出る。サイフォンはドリップ式に比べコーヒーオイルがより多く含まれ、口当たりがまろやか。パーコレーターは豆のオイル感を楽しめる(キーコーヒー) |
| 味の安定しやすさ | 浸漬法は誰がいれても安定しやすい(キーコーヒー)。フレンチプレスはハンドドリップより条件をそろえやすい(キーコーヒー)。メリタの一つ穴式は、技術を問わず抽出できるとしている(メリタ) |
| 手間・道具 | ネルは洗浄と煮沸の手入れが要る(UCC)。サイフォンは熱源が主に3種類ある(キーコーヒー)。エスプレッソは粉を正確に入れる技術が必要(協会) |
| 火や電気を使わない | エアロプレスは、火や電気を使わずエスプレッソのようなコーヒーを作れる(キーコーヒー) |
ドリップを始めたばかりなら、今のドリップで注ぎ方を探る道と、条件をそろえやすい浸漬法を試す道があります。
EL ORIGEN が各社の公開情報を整理したところ、味の傾向と手間は淹れ方ごとにこのように分かれていました。器具が決まったら、コーヒー豆の商品一覧から豆を探してみてください。
よくある質問
コーヒーの淹れ方は大きく分けて何種類ありますか?
キーコーヒーは、ペーパーやネルなどの淹れ方を、お湯を通してろ過する透過法と、お湯に浸す浸漬法の2つに分けています。エスプレッソとマキネッタは加圧、パーコレーターは循環、水出しは水で時間をかけるという別のしくみです。この記事では、ペーパー、ネル、サイフォン、フレンチプレス、エアロプレスを加えた9つを取り上げました。
ペーパードリップは透過法と浸漬法のどちらですか?
キーコーヒーは、透過法の代表をペーパードリップ(一部は浸漬法)とネルドリップと書いています。そのため、完全な透過法とは言い切れません。
エスプレッソとマキネッタは同じものですか?
圧力が異なります。協会はエスプレッソを約9気圧で抽出するとしており、キーコーヒーはマキネッタを1.5気圧で、エスプレッソのように濃厚になると説明しています。
初めて淹れるなら、どの方法から始めればいいですか?
協会は、ペーパードリップを、はじめての人でも簡単に本格コーヒーを淹れられる方法としています。キーコーヒーは、フレンチプレスはハンドドリップより条件をそろえやすく、味が安定しやすいと書いています。
水出しコーヒーは、できるまでにどのくらいかかりますか?
UCC上島珈琲のコーヒーバッグは、4〜8時間でできるとしています。協会が紹介する水出しコーヒー滴下式(ダッチ)は、10杯分で6〜8時間です。
この記事について
最終更新日:2026年10月28日/執筆:EL ORIGEN 編集部
※粉の量・お湯の量・湯温・時間は、各社の公開情報を整理したものです。参照先は全日本コーヒー協会・キーコーヒー・UCC上島珈琲・HARIO・カリタ・メリタ・エアロプレスの公式サイト。記載は2026年10月28日に確認しました。目安は器具や好みで変わります。
※商品の内容・在庫・価格は変動します。最新の情報は各商品ページでご確認ください。
免責事項はこちら、個人情報の取り扱いはプライバシーポリシーをご覧ください。ご質問はお問い合わせから受け付けています。



